BRIEFING.101(2005.9.1)

生コンのスランプ

静かにコーンを引き抜くと、中に詰められていた生コンがどろりと周囲に広がり、やがて富士山のような形となった。かなり水分量が多いようである。

コーンの高さは30cm、内径は上端で10cm、下端で20cmである。生コンの山の高さが10cmとすれば、その差20cmが「スランプ(落ち込み)」である。

水分の多い生コンほどスランプも大きく、強度や耐久性に劣るコンクリートとなる。しかし施工のしやすさ、効率を考えれば、その方がよいということになる。

逆に水分の少ない生コンは、堅いコンクリートになる。しかし、打設に時間がかかり、うまく施工しないと型枠の角まで生コンが行き渡らないこともある。そこで安易に、現場で加水が行われる可能性が生ずる。

スランプは一般に、建築工事で15〜18cm、土木工事では8〜12cmが求められる。だが、これより大きくても竣工時には外観からそれを見抜くことは困難である。しかしスランプの大きいコンクリートは中性化の進行が早く、クラックの発生も多いため、鉄筋の腐蝕、剥落等がおきやすく、地震にも弱いのである。

近年、収益物件の流通が活発化している。不動産は収益で買え、とばかりに現状(または想定)の賃料総額を利回りで割り戻して(広義の)収益価格で査定される。

しかし、施工の良否はどうか、建物の減価がどの程度進んでいるのか、残存耐用年数はどれくらいか、という積算価格的考え方も併用することを忘れてはならない。


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