BRIEFING.103(2005.9.15) 

権利金等の規制と市場の縮小(2)

権利金等の禁止は、「情報の非対称性」により賃貸マンション市場の縮小をまねくおそれがあることを、前回指摘した。

実際、この対応策として、敷引き割合を居住年数によって段階的に定め、短期解約を抑制する契約方法が古くから利用されている。

例えば、2年未満なら50%引き、4年未満なら30%引き、4年以上居てくれれば全額返します、といった具合である。長期ほど権利金が少なくなるしくみである。

長期間借りることを約束すれば、フリーレント付き(マイナスの権利金)といった条件もありうる。

賃貸人の交代費用(BRIEFING.46参照)をその賃貸人自身に負担させ、長期安定的な賃借人にその負担が回ることのないようにするものである。

一方、賃借人からみれば逆になる。

短期の人には、少々賃料が高くても権利金が低い(できれば0円、フリーレント付きが最高)方がよい。長期の人は少々権利金が高くても賃料の安い方を選択するだろう。

そして、それぞれの市場で競争がおき、均衡する条件が浮かび上がってくるだろう。

その中で、ウイークリーマンション(通常権利金等はないが賃料は大変に割高)、借地権付マンション(権利金に代わる分譲代金は極めて高額だが賃料は安い)といった、様々な商品も生まれる。

賃借人に選択されない商品なら、自ずと市場から撤退を余儀なくされるであろうから、法律でその選択肢を狭める必要はない。


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