BRIEFING.104(2005.9.22)

割引率、運用利回りの「法的安定及び統一的処理」

逸失利益を現在価値に換算するための中間利息の控除割合について、最高裁判決(2005年6月)があった。

「我が国では実際の金利が近時低い状況にあること」等から、それを民事法定利率の5%より下げるべきとの、原審の判断に一定の理解を示しつつも、「法的安定及び統一的処理」の必要性から、「控除すべき中間利息の割合は、民事法定利率によらなければならない」としたものである。

民事法定利率は民法第404条において定められており、5%とされたのは「民法の制定に当たって参考とされたヨーロッパ諸国の一般的な貸付金利や法定利率、我が国の一般的な貸付金利を踏まえ、金銭は、通常の利用方法によれば年5%の利息を生ずべきものと考えられたから」と判決は述べている。

さて、不動産鑑定評価において採用される割引率(DCF法)、運用利回り(直接還元法)等は、どうか。

概して言うならばこれらは、次の@から、または@Aから(BRIEFING.90参照)査定されると考えられる。

@価格時点における金利水準
A対象不動産の種別

前述の「中間利息の控除割合」は、@に相当するものであると考えられる。しかしその査定結果は鑑定評価の主体の判断・意見であるから若干の相違が生じる。そしてそれは容認されてきた。

しかし不動産鑑定評価に対する信頼性の向上のため、その統一を検討してみる価値がありはしないだろうか。


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