BRIEFING.112(2006.3.30)

今年の地価公示は「ファンド・バブル公示」

今年も地価公示法に基づき、1月1日現在の標準地の単位面積当たり価格が公示された。

それによると、三大都市圏の商業地は15年ぶりにそろって上昇に転じ、特に東京、名古屋の都心部では、3割を越える上昇地点が出ている。

住宅地は、東京圏でほぼ横ばい、大阪圏・名古屋圏でも1%台の下落となった。

ただ、地方圏では、下落幅は縮小したものの商業地で5.5%、住宅地で4.2%の下落となっている。

こういった状況の中、都心部の商業地の価格がバブルか否かが注目されている。

収益還元法による評価に基づいて取引されるようになってきたのでバブルではない、いやそれでも、異常な金利水準の元で査定された還元利回りで還元すればバブルだ、といったところが両陣営の主な主張ではなかろうか。

市場では、公簿・私募のファンドが、収益不動産の取得合戦をくりひろげている。そしてまとまった土地の売却には競争入札が採用される。

その結果、還元利回りで無理をして「勝てる価格」かつ「適正な価格」が捻り出されているのではないか。あそこがその利回りなら、ここもその利回りで・・・。

そこで今年の地価公示を「ファンド・バブル公示」と名付けたい。

近年の地価公示につけたニックネーム、及びその前年の主な関連事項は次の通り。

平成18(2006)年 ファンド・バブル公示・・・還元利回り低下。物件取得合戦。
平成17(2005)年 底入れ公示・・・・・・・量的緩和。ビル空室率縮小。都心部で地価反転。
平成16(2004)年 変化の兆し公示・・・・都心部で下げ止まり感。二極化。
平成15(2003)年 都心回帰公示・・・・・2003年問題収束か。賃料水準は低迷。
平成14(2002)年 2003年問題公示・・・総合デフレ対策発表。ビル空室率上昇。

なお、これ以前の地価公示のニックネームは、BRIEFING.72を参照されたい。


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