BRIEFING.118(2006.8.10)

効用比の正体

分譲マンション1戸の積算価格は、その1戸を含む「1棟の建物及びその敷地」の積算価格に、その1戸の効用積数割合(配分率)を乗じて求められる。全体の価格を全戸に配分するという考え方である。

そして効用積数とは、「1棟の建物及びその敷地」の各専有部分について求められるもので、一般には(専有面積×効用比)で求められる。

また効用比とは、専有面積当たりの価値であり、基準となる部分を100とし、その部分の階層・位置、形状、規模、用途等によって査定される。

例えば、2階を100とし、3階が102,4階が103、といった具合である。妻側住戸ならこれに+2ポイントといったところだろうか。

市街地再開発事業の施設建築物の用途は多様である。店舗、ホテル、劇場、事務所、住居(分譲・賃貸)、駐車場、さらには交番や市民ホールといった公共施設までもが1棟の区分所有建物に組み込まれる場合がある。その権利変換計画作成に当たっては、これらそれぞれに効用比を査定しなければならない。

エレベーターやロビー、集会室等は、賃貸借や売買の対象とならず、効用比もない。

ところで、この効用比は何を念頭に査定されているのか、必ずしも明確になっていない。一般には次のように考えられている。

@価格比説・・・・いくらで売れるか
A賃料比説・・・・いくらで貸せるか
B純賃料比説・・・貸せばいくらもうかるか

この点、国土交通省の損失補償取扱要項・別記3は、当初分譲時における「設定価格」および近隣区分所有建物等の「設定価格」を参考にして適正に求める旨、述べている。@の価格比説である。

また、積算価格を求める作業の一部なのであるから、価格比を念頭に査定するのが当然と言えるかも知れない。@が有力説と言ってよいだろう。

一方、各説併記した解説書も多く、また、なぜあっさりと「価格比」と言わず「効用比」と言うのかという疑問も残るのである。


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