BRIEFING.132(2007.03.15)

タワーマンションの50年後

地上40階、50階といった大規模マンションの供給が続いている。そしてその1棟の区分所有者数は数百にも及ぶ。

これらは、立地が良いだけではなく、専有部分、共用部分とも豪華で、その管理体制もすばらしいものである。その広い共用部分の維持管理費や、ホテルと間違えるほどのフロントサービスの費用も、大勢でなら負担してゆけるのであろう。

それはさておき、これらが老朽化する時期を迎えた時、数百人に及ぶ区分所有者達は、建物の将来についてうまく意見を調整することができるであろうか。

これまでに、老朽化が進んだマンションにおいて、大規模修繕を行った事例、全員合意で建替えに成功した事例、区分所有法に基き5分の4以上の賛成で建替えを決議・実行した事例などが多くある。

また、平成14年12月施行のマンション建替え円滑化法の活用事例も増えてきた。

しかし、スムーズな大規模修繕や建替えは、献身的な理事やコンサルタントがいて、他の権利者も熱心で、協力的なデベロッパーやゼネコンがいて、という偶然に近い状況があって初めて可能だったと推測する。

容積の余裕、十分な積立金、取込み可能な隣地の存在、等の要素もあっただろう。

昨年11月、阪神大震災で半壊した芦屋市のマンションで、ほぼ12年の時を経て建替え工事が始まった。このマンションの戸数はわずかに48戸。再建費を払えない3世帯をどうするかが大きな問題であったという。

今から案ずるのは気が早いかも知れぬが、50年後、60年後のタワーマンションはどうなるであろうか。理事長のなり手もおらず、気づいた時には、賢明な人だけ、売り逃げしていた・・・というようなことにならねばよいが。

国土交通省は、先月、管理会社による理事会の代行制度の検討を始めた。この新制度に期待したい。


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