BRIEFING.134(2007.03.29)
今年の地価公示は「デフレ脱却公示」
今年も地価公示法に基づき、1月1日現在の標準地の単位面積当たり価格が公示された。
それによると、全国の標準地の平均価格は住宅地・商業地とも、16年ぶりにそろって上昇に転じ、特に大都市の中心部では、4割を越える上昇地点が出ている。
全国の住宅地平均は0.1%の上昇、商業地平均で2.3%の上昇である。
一方、地方圏では住宅地平均で2.7%の下落、商業地平均で2.8%の下落であった。
商業地の最高上昇地点は東京都渋谷区神宮前5丁目で45.5%、二位は名古屋市中村区名駅2丁目の45.1%、以下福岡市博多区博多駅前、大阪市北区梅田と続く。
住宅地では東京都港区南青山5丁目の45.5%以下、十位までを港区・渋谷区が占める結果となっている。
ところで、東京圏の商業地における実際の取引価格をみてみると、路線価の3倍は当たり前で、6倍の所まで出現したという。平成18年地価公示を「ファンド・バブル公示」と名付けたが、いよいよそれが表面化してきたというところだろうか。
都心部の商業地の価格は、収益還元法に裏付けられた価格なのでバブルではない、という主張が大勢を占める中、バブルへの警戒が必要との声も聞かれる。
平成19年地価公示においては、やっと全国平均がプラスに転じたということで、やっと「デフレ脱却公示」といってよいだろう。
近年の地価公示につけたニックネーム、及びその前年の主な関連事項は次の通り。
平成19(2007)年 デフレ脱却公示・・・海外マネー流入。グローバル化。
平成18(2006)年 ファンド・バブル公示・・・還元利回り低下。物件取得合戦。
平成17(2005)年 底入れ公示・・・・量的緩和。ビル空室率縮小。都心部で地価反転。
平成16(2004)年 変化の兆し公示・・都心部で下げ止まり感。二極化。
平成15(2003)年 都心回帰公示・・・2003年問題収束か。賃料水準は低迷。
なお、これ以前の地価公示のニックネームは、BRIEFING.72を参照されたい。