BRIEFING.142(2007.06.25)

不動産の共有持分の価値(1)

不動産の所有者は、1つの個人・法人である場合もあるが、複数の個人・法人が共有している場合も少なくない。

個人が住宅を取得する際、複数の人が資金を出せばその出資割合に応じてその土地建物を共有にするし、複数の相続人が1つの不動産を共同で相続した結果、土地建物が共有になる場合もある。

また、分譲マンションの敷地や共用部分は、区分所有者の共有であるのが一般的であるし、市街地再開発事業や、等価交換事業で敷地が共有になることも多い。

さらに不動産投資法人や特定共同事業組合が収益不動産やその信託受益権を所有するのも、実質的にはその出資者が不動産を共有しているのに近い。

さて、これらの共有関係における共有持分の価値は、その不動産全体の価値にその共有割合を乗じたものに等しくなるであろうか。つまり、すべての共有持分の価値をすべて合計すれば、その不動産全体の価値になるかどうか、ということである。

上記共有の例を、次のように分類して考えてみる。

@共有の一戸建住宅
A区分所有建物の敷地
B投資法人所有の収益不動産

@の場合、共有者が親子・夫婦であれば問題ない。しかし何らかの事情で共有者の1人がその持分を市場で処分しようとした場合どうだろう。

相当に安くしなければ買い手は現れないだろう。妙な人が買えば残りの共有持分の価値も下がってしまうだろう。

Aの場合は特に問題はない。但し建物が老朽化し、建て替えという問題に直面した場合はやや煩雑である。

しかしこれを踏まえた法の整備も進んできた。

Bは不動産を小口化して流動性を高め、その価値も高めようという目的のものである。したがって合計額はむしろその不動産の価値を上回るかも知れない。


BRIEFING目次へ戻る