BRIEFING.146(2007.07.26)

取引事例比較法における直接比準の活用を(2)

前回、一般には下記のUが使われるが、対象不動産の最有効使用(BRIEFING.059参照)が近隣地域における標準的使用と異なる場合にはTの方が使いやすいことを述べた。

T直接比準
U間接比準(3段階比準)

たとえば、中小工場が建ち並ぶ工業地域に存するが、一戸建住宅の敷地として利用すべき小規模宅地の価格を求める場合はどうだろう。

Uの方法では、近隣地域における標準画地(中小工場の敷地)の価格を求め、それを対象不動産(一戸建住宅の敷地)の価格に直すという手順になる。

採用する事例は、中小工場が建ち並ぶ工業地域から収集・選択することになる。

また、小規模住宅・店舗が混在する地域に存するが、分譲マンション用地として利用すべきまとまった土地の価格を求める場合はどうか。

Uの方法では、近隣地域における標準画地(小規模住宅・店舗の敷地)の価格を求め、それを対象不動産(分譲マンション用地)の価格に直すという手順になる。

採用する事例は、小規模住宅・店舗が混在する地域から収集・選択することになる。

いずれも、価格の格差をイメージしにくい。

前者の例をTの方法で行えば、異なる地域の一戸建住宅の敷地の取引価格から、直接対象不動産の価格を求めることになる。

後者の例をTの方法で行えば、異なる地域の分譲マンション用地の取引価格から、直接対象不動産の価格を求めることになる。

これなら価格の格差をイメージしやすい。

Uは地域要因重視、Tは個別的要因重視、ということであろう。

次回は、TUの折衷法を紹介しその当否について考える。


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