BRIEFING.149(2007.10.04)

「底地」の呼び方

借地権(建物所有目的の地上権または土地の賃借権)の付着した土地を「底地」と言う。

不動産売買や鑑定評価の世界において使われる言葉であり、「不動産鑑定評価基準」にその定義が記されている。

一方、不動産登記の世界における「底地」は、これと全く違い、建物の所在している土地、物理的に乗っている地番単位の土地、という意味になる(BRIEFING.071)。

ちなみに、この登記の世界の「底地」は建築基準法上の「敷地」とは異なり、接道や容積率とは全く関係がなく、単に建物が乗っている土地ならその建物の「底地」であり、建物の登記簿にその「所在」欄に記載される土地である。

また、税務の世界においては、売買・鑑定の世界における「底地」を「貸宅地」と呼ぶ。「財産評価基本通達」に出てくる用語である。

●売買・鑑定の「底地」=税務の「貸宅地」
●売買・鑑定の「底地」≠登記の「底地」

隣接業界でこのように用語が混乱していては、ややこしい。

この他「貸地」という呼び方もある。確かに「借地・借家」とくれば「貸地・貸家」となるのが自然でスッキリする。ただ「貸地」には、借主募集中の土地というニュアンスもある。

また一般に「底地を持っている」ことを「借地を持っている」とも言う。そして借地権者は「借地をもっている」とは言わず「借地権をもっている」というので区別できる。

これを整理すると下表の通りとなる。これらが皆ほぼ同義であるから不思議だ。

 使用される世界 名 称    備  考
@売買・鑑定 底 地  
A登記   − 底地は別の意味
B税務 貸宅地  
Cその他(1) 貸 地  
Dその他(2) 借 地  

 


BRIEFING目次へ戻る