BRIEFING.153(2007.11.22)
「建物及びその敷地」の類型の整理(その1)
不動産の類型とは、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて分けられる分類概念である。その大きな分類の主なものは「宅地」と「建物及びその敷地」とである。そして、不動産鑑定評価基準は「建物及びその敷地」の類型として次の4つを例示している。
@自用の建物及びその敷地
A貸家及びその敷地
B借地権付建物
C区分所有建物及びその敷地
しかしこの4類型を並列に扱うのに、どうも違和感を持つ人が少なくない。それは次の理由によるものと思われる。
@は建物を「自用の建物」か「貸家」かで区分しているものの「その敷地」の区分(所有地か借地権か)が明確でない(通説では所有権の場合を指すとされる)。一方、Bは建物が「自用の建物」か「貸家」かを区別せず(通説では両方含むとされる)、敷地については「借地権」と明示している。
どうせなら@Aの「その敷地」を「所有地」と明示すべきだし、敷地が「借地権」の場合にも「自用の建物」の場合と「貸家」の場合とを例示すべきではないだろうか。
また@Aでは「○○及び○○」としつつBでは「○○付○○」というのもいかがなものか。
さらにCについては建物についても敷地についても上記区分がない。
そして、そもそも賃借権の有無と、区分所有か否かの区別とは、次元の違う話である。
こられは、まず区分所有か否かの区別をした上で、次のように整理すべきである。
敷 地 | |||
所有地 | 借地権 | ||
建物 |
自用建物 | 自用建物及び所有地 | 自用建物及び借地権 |
貸 家 | 貸家及び所有地 | 貸家及び借地権 |
しかし、実務上、この区分だけでは不足する。そこで次回は例示ではなく、現実に存する「建物及びその敷地」の類型をほぼ網羅した分類表を作成してみる。