BRIEFING.160(2008.03.06)

合意されていた更新料、消費者契約法に反せず有効の判決

賃貸マンションの更新料が有効か否かが争われた裁判の判決が京都地裁であった。原告(賃借人)側は、更新料は消費者契約法に反し無効だと主張したが、判決は次のようにこれを退けた(BRIEFING.117102103参照)。

@更新料はいわば賃料の前払いであるが、本件では期間や家賃に照らし過大でない。
A賃借人は、更新料の説明を受けており、不足の損害をもたらすものではない。

したがって消費者の利益を一方的に害するとは言えず、消費者契約法には反しない、と。

さて、市場には、様々な条件の賃貸マンションがあるが、これらの条件のうち、金銭の支払いに係るものとしては次のようなものがある。

●賃料、共益費等の定期金
●保証金、敷金等の一時金
●権利金、礼金等の一時金
●更新料等の一時金(一種の定期金か?)

そして、仮に物理的に全く同条件のマンションがあった(あり得ないが)としてもそれに対し様々な金銭支払いに係る条件を組み合わすことができる。

たとえば、敷金が高めだが賃料が安い、更新料はないが権利金が高い、時には賃料は高いが3ヶ月間のフリーレント(マイナスの権利金)付きといったものもあるかも知れない。

したがって、次の2つうち(ア)は消費者の利益を一方的に害し、(イ)は害さない、ということはないはずである。

(ア)更新料はないがそれに相当する分、賃料が高い
(イ)更新料はあるがそれに相当する分、賃料が安い

賃借人はこれらを総合的に比較検討し、マンションを選択するのである。

その選択の幅を法が狭める必要があるだろうか。狭めることは消費者保護どころか還って消費者の利益を損なうことになりはしまいか。

とはいえ、更新後、すぐに引っ越すかも知れない人にとって更新料は面白くない。ならば更新の際、更新料に代えて賃借期間に見合う更新料相当額を、賃料に上乗せしてもらうよう、交渉してみる手もある。

賃借人が一方的に約束を破っては、賃貸人にこそ不測の損害が生ずると言うべきである。

そして、もし更新料が本当に消費者に嫌われるものであるとすれば、裁判所に言われるまでもなく、更新料は早晩、市場から消え去るであろう。


BRIEFING目次へ戻る