BRIEFING.162(2008.03.27)

今年の地価公示は「サブプライム公示」

今年も地価公示法に基づき、1月1日現在の標準地の単位面積当たり価格が公示された。

それによると、全国の標準地の平均価格は住宅地・商業地とも、2年連続の上昇となった。

全国の住宅地平均は1.3%の上昇、商業地平均で3.8%の上昇である。

一方、地方圏だけでは住宅地平均で1.8%の下落、商業地平均で1.4%の下落であった。大都市圏の上昇が全国を引っぱったかっこうだ。

商業地の最高上昇地点は仙台市青葉区中央1丁目で40.1%、二位は東京都港区六本木7丁目の39.1%、以下福岡市博多区博多駅前、名古屋市中村区名駅と続く。

住宅地では東京都港区南青山4丁目の36.8%以下、同30.6%、東京都渋谷区神宮前4丁目29.4%、仙台市青葉区錦町2丁目25.0%と続く。

ところで、この上昇率は1月1日現在の対前年同期比であることを忘れてはならない。というのも、この1年間を通して徐々に上昇してきたのではなく、前半で大きく上昇し、後半は伸び悩みというのがその内訳であるからだ。

その遠因はアメリカを震源とするサブプライム・ショックである。当初、金融関係者もマスコミも、その影響がこれほどまで広がるとは考えていなかったようである。しかし、外資が利の乗った日本株や不動産ファンドへの出資を引き上げた結果、誰も不動産に出資も融資もしなくなり、取り合いだった収益物件も、今では売り一色と言う。

ちょうど1年前のこのコラム(BRIEFING.134参照)で触れた「バブルへの警戒」を改めて思い出さねばなるまい。

そこで今年は「サブプライム公示」と名付ける。

近年の地価公示につけたニックネーム、及びその前年の主な関連事項は次の通り。

平成20(2008)年 サブプライム公示・・外資引上げ、建基法厳格化。マンション低調。
平成19(2007)年 デフレ脱却公示・・・海外マネー流入。グローバル化。
平成18(2006)年 ファンド・バブル公示・・・還元利回り低下。物件取得合戦。
平成17(2005)年 底入れ公示・・・・・量的緩和。ビル空室率縮小。都心部で地価反転。

なお、これ以前の地価公示のニックネームは、BRIEFING.72を参照されたい。


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