BRIEFING.171(2008.07.16)
地価公示・地価調査結果の違和感
毎年公表される地価公示・地価調査の概要は次の通りである。
根拠法令 | 価格時点 | 対象地 | 価 格 | 実施機関 | |
地価公示 |
地価公示法 |
1月1日 |
標準地 |
正常な価格 |
国土交通省 土地鑑定委員会 |
地価調査 |
国土利用計画法 施行令 |
7月1日 |
基準地 |
標準価格 |
各都道府県知事 |
地価公示は「標準地の正常な価格」、地価調査は「基準地の標準価格」とややこしいが特に意味はない。
ところで、公表された結果を新聞等で見て、実感との間に違和感があることがある。地価が急騰していると聞くのに、新聞はやっと「下げ止まり」、安売りが始まっているのに「上昇率に陰り」といった具合である。
その原因は(1)時点の問題と、(2)時間の問題、に分けられる。
(1)は、価格の時点とそれが公表される時点とに差(概ね2ヶ月半)がある点である。
(2)は、公表される変動率が過去1年間のものだという点である。
これらは知っていれば納得できる問題である。しかし(1)はさらに困った問題を抱えている。
(1)の上記点を、@公表ラグ とすれば、A決定ラグ、B事例ラグ、とでも言うべき問題がある。なお、ラグ(lag)=遅延、遅滞。
Aは、価格時点と、その価格を決定する時点のタイムラグであり、一応は価格時点後、数日後に決定されるのであるが、実務上、多くの調整を行わなければならないため、価格時点の1ヶ月ほど前に価格が内定し、ほぼそれがそのまま決定されることが多い。価格時点を過ぎてから変更していては調整が間に合わない。
Bは、価格内定時点で入手可能な取引事例、賃貸事例が、その2〜3ヶ月程度前のものになるという点である。もちろん時点修正により価格時点の取引価格に修正はするのであるが、その変動率は過去の推移からの判断とならざるを得ない。
@にABが合計され、(1)の問題がふくらむものと考えられる。