BRIEFING.176(2008.10.06)

宅地とは

宅地開発、宅地造成等、「宅地」という言葉を耳にする機会は多いが、その意義は必ずしも一定ではない。なぜなら、次の通り法律によって定義が異なるからである。

●宅地建物取引業法
 建物の敷地に供せられる土地をいい、都市計画法第8条第1項第1号の用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外のものを含むものとする。

●宅地造成等規制法
 農地、採草放牧地及び森林並びに道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供されている土地以外の土地をいう。

●土地区画整理法
 公共施設の用に供されている国又は地方公共団体の所有する土地以外の土地をいう。

●都市再開発法
 公共施設の用に供されている国、地方公共団体その他政令で定める者の所有する土地以外の土地をいう。

公共の用に供されている民有地はどうか、農地はどうか、など、微妙な相違があってややこしい。

さらに次の定義は、これまでのものとかなり異なる。

●不動産鑑定評価基準
 宅地地域(居住、商業活動、工業生産活動等の用に供される建物、構築物等の敷地の用に供されることが、自然的、社会的、経済的及び行政的観点からみて合理的と判断される地域)のうちにある土地をいう。

現況に関わりなく、建物等の敷地の用に供されることが合理的なら宅地となる。ただ、そのまま読めば、宅地地域内の道路や水路も宅地となってしまい、定義に不備が感じられる。

一方、国土交通省土地水資源局のHPには「宅地とは何でしょう?」の問いに対し「人間の生活の基盤である住宅の、その基盤となる土地のことです。」とあり、宅地を住宅地に限定している。

同省が毎年推計している「宅地供給量」の「宅地」も住宅地限定である。ただ、住宅の敷地面積に細街路、小公園等を加えてカウントするM.G(ミディアムグロス)方式がとられている。これは、ある宅地開発事業の全体の施行地区面積から、街路、公園等の根幹的な公共施設分の面積を引いたものに相当し、住宅の純然たる敷地面積の合計の1.2〜1.3倍に当たるそうである。

これらの「宅地」の差異を説明できる人は多くないだろう。


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