BRIEFING.182(2008.12.04)

定期建物賃貸借における賃料増減額請求権の放棄(2)

民法は公序良俗違反等を基礎に「契約自由の原則」を認めつつ、同法第604条で賃貸借の最長期間を20年間に限定している。また、信義則から「事情変更の原則」が導かれるとされている。

しかし前回(BRIEFING.181)で述べた通り定期建物賃貸借においては、これに反し次のような契約が可能である。

@20年超
A賃料改定不可
B途中解約不可

これは民法の定めに優先する規定と理解されるが、これでは何らかの問題が生じないだろうか。

ところで、我が国で期間40年もの超長期国債が発行されていることはあまり知られていない。今年発行のもの(2048年3月償還)で表面利回りは2.4%、最近の取引利回りはその上下を揺れ動いている(単価が上下)といったところである。

国は償還までの間、一定の利払いを続け、満期自には額面通りで償還する。40年間のうちにいかなる金利水準の変動、いかなるインフレ、デフレがあったとしてもである。

また、(独)住宅金融支援機構と民間金融機関が提携した長期固定型住宅ローン「フラット35」というのもある。

これもいかなる金利水準等の変動があったとしても、35年間、元利金等返済である。

とすれば、@〜Bの定期建物賃貸借も問題なしとも思える。

ただ、知識のない一般人どうしでも契約可能という点が、40年国債やフラット35と大きく異なり、気がかりな所である。

有識諸氏のご議論、ご検討を期待する。


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