BRIEFING.019(2002.01.17)

意外と大きい地震保険の地域別保険料格差

平成13年3月、損害保険料率算定会は、地震保険料率の変更を金融庁に届け出て了承された。これに伴い同年10月1日から新料金が適用されることとなった。

この変更の特徴は、建物の築年月や「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく耐震等級等によって料率を割引くというもの。イ構造(非木造)、ロ構造(木造)ともに4段階の料率となる。個別建物の危険度を考慮した点で意義は大きい。

さて、この他、地震保険の料率は、下表の通り都道府県によっても1等地〜4等地に区分されている。この区分は昭和41年には3区分であったが、同55年に5区分となり、平成3年には4区分となって今日に至っている。

1等地 北海道、福島県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、福岡県、佐賀県、鹿児島県、沖縄県
2等地 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、富山県、石川県、山梨県、鳥取県、愛媛県、徳島県、高知県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県
3等地 埼玉県、千葉県、福井県、長崎県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
4等地 東京都、神奈川県、静岡県

ちなみにイ構造・耐震等級3の建物の場合、保険期間1年で保険金額千円に対し、保険料は1等地で0.35円、4等地で1.23円、ロ構造・耐震等級3の建物の場合では1等地で0.84円、4等地で2.49円である。それぞれ3.5倍、3.0倍の差がある。地域格差は意外に大きい。

これらの料率は地域の地震危険度に基づく純保険料率に、付加保険料率(営業費、査定費、代理店手数料他)を加えて求められる。地震危険度は理科年表による日本付近の主な被害地震年表等をもとに次の3つの損害形態を評価して判断される。

@地震による損壊危険
A地震による焼損危険
B津波による流出、損壊、浸水危険

ところで、地域区分は「保険料率の実用性の観点から」上表の通り都道府県が単位とされている。しかし危険度を都道府県別に集計するというのはあまりにも大ざっぱな感じがする。

同じ県内でも海岸部と内陸部とではBの危険度に大差があるし、地質地盤の状態、建物密集度も様々である。「実用性の観点」からはやむを得ないのであろうか。

また、詳細な地域別危険度が高い精度で判明したとしても、それを公表し、地震保険料に反映させるべきか否かという議論も必要となってくるであろう。

6,432人の死亡者を出したあの阪神大震災から丸7年である。


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