BRIEFING.194(2009.03.25)

今年の地価公示は「百年に一度の危機公示」

今年も地価公示法に基づき、1月1日現在の標準地の単位面積当たり価格が公示された。

それによると1年間の変動率は、全国平均で住宅地▲3.2%、商業地▲4.7%となり、3年ぶりに上昇から下落に転じている。

三大都市圏平均で見ると、住宅地▲3.5%、商業地▲5.4%と、全国平均より下落率が大きいことが分かる。

特に東京圏の商業地は▲6.1%(前年は+12.2%)、名古屋圏の商業地も▲5.9%(前年は+8.4%)と、前年の大幅上昇から一転下落となっている。大阪圏の商業地は前年の上昇が小幅だった分、下落も▲2.0%(前年+2.7%)と緩めであった。

ざっくり言えば、前回の地価公示は、前半急騰・後半失速、今回の地価公示は、前半横ばい・後半下落という内訳であった。今になって俯瞰してみると、急騰→失速→横ばい→下落と、ごく自然な流れであることが判る。

しかしその変化のさなかにいては、今の流れがいつまで、どの程度続くのか予測は難しい。

事実、サブプライム・ローン問題の影響については、予測し難いものがあった。まさかここまでの「津波」(グリンスパン前FRB議長)や「暴風雨」(麻生首相)になろうとは。

そこで今年は「百年に一度の危機公示」と名付ける。

今、この公示価格の価格時点(1月1日)からすでに3ヶ月近くが経過した。この間の地価の動きは、巷間囁かれてはいるが、これから明らかになってくるだろう。

近年の地価公示につけたニックネーム、及びその前年の主な関連事項は次の通り。

平成21(2009)年 百年に一度の危機公示・・リーマン・ショック。世界同時不況。
平成20(2008)年 サブプライム公示・・・・外資引上げ、建基法厳格化。マンション低調。
平成19(2007)年 デフレ脱却公示・・・・・海外マネー流入。グローバル化。
平成18(2006)年 ファンド・バブル公示・・還元利回り低下。物件取得合戦。
平成17(2005)年 底入れ公示・・・・・・・量的緩和。ビル空室率縮小。都心部で地価反転。

なお、これ以前の地価公示のニックネームは、BRIEFING.72を参照されたい。


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