BRIEFING.195(2009.04.08)

不動産投資法人とそのスポンサー

J−Reat2法人のスポンサーであるパシフックホールディングスが会社更生法の適用を申請し、財産保全命令を受けた。

当該会社の株価が投げ売られるのはしかたのないところである。しかし、2つの不動産投資法人の投資口価格の下落も著しいと言う。倒産隔離が図られているはずなのだが・・・。

不動産投資法人の「スポンサー」については、BRIEFING.164172で触れたが、不動産投資法人の設立母体とも言うべき会社である。大手不動産会社をはじめ、保険会社、リース会社、電鉄会社などがこの「スポンサー」となって不動産投資法人を作り、様々な形でこれに関与している。

しかし不動産投資法人の主役は、その所有する不動産そのものであり、それに係るAM会社、PM会社は脇役、それも差し替えのきく脇役であるはずである。

特にPM会社は、差し替えられてゆくことが前提と言っても過言ではない。なぜなら、不動産から得る収益を最高水準に保つためには、PM会社を固定せず、競わせる必要があるからである。

さて、不動産投資法人のスポンサー企業が単独である場合、その投資法人には、そのスポンサーがすぐに分かる名称が付されている。これはスポンサーの交代を全く想定していないと考えられる。

また、スポンサー企業が複数である場合は、ジャパンリアル・・・、日本ビル・・・といったスポンサー名を冠さない名前が付けられている。これらはスポンサーが変わっても困らない名称であるが、そのAM会社の名称が投資法人名と一致していることが多い。

たとえば○○投資法人なら、○○アセットマネジメント株式会社、○○マネジメント株式会社、といった具合である。

これはAM会社(多くはスポンサー企業の関連会社)の交代を全く想定していないと考えられる。

また、融資する銀行も、不動産を見ずにスポンサーばかり見ているのではないか。投資口を販売する証券会社も、それを買う個人・法人もまた同じだろう。

問題の2不動産投資法人の善し悪しは所有する不動産そのもので判断しなければならない。

とは言うものの、皆がスポンサーの信用を重視する以上、それを無視できないのもまた現実である。倒産隔離を信じている人は本当はあまりいないのであろうか。


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