BRIEFING.002(2001.09.10)

売れ残りマンションの値下げ販売に伴うトラブル
 
浦和市、横浜市都筑区で、住宅都市整備公団(現・都市基盤整備公団)が売れ残った分譲マンションの価格を引下げて販売したことに対し、先に購入していた住民が、公団に対し損害賠償等を求めていた事件で、ともに原告住民側が敗訴(ともに控訴)した。

この種の事件としては、奈良県木津町の民間の住宅団地で、先に宅地を購入していた住民が、その売主に対し値下げ後の価格と購入価格との差額の返還を求めていた事件もあったが、やはり原告住民が敗訴している。

また、東京弁護士会不動産法部編の「マンショントラブルずばり回答」のQ&Aにおいてはこの種のトラブルに対し、はっきりと「返還を求めることはできません」と述べられている。この種の問題はすでに決着ずみと言えようか。

しかし、値下げ後の価格との差額を返還した例もある。芦屋市ではマンションの既購入者に民間の売主が差額を全額返還、浜松市では宅地の既購入者に公社が差額を全額返還している。この他一部を返還した例、一部を返還しようとしたがそれだけでは納得できない既購入者が受け取りを拒否している例などもある。またこのような争いは住宅だけでなく、工業団地にも多く見られる。

そしてこれらは、当初販売価格は妥当であったが地価下落で割高になってしまったケース(次期以降値下げ型)、当初販売価格がすでに割高であったケース(売残り分値下げ型)、とに分けられ、それぞれに生じている差額は次の通り整理できよう。

●次期以降値下げ型 ・・・ 事後発生分
●売残り分値下げ型 ・・・ 事後発生分+当初潜在分

事後発生分については、値上がり益を買主が享受するのと同様、買主が当然負担すべきであるが、当初潜在分については、売主がプロ、買主が素人ということを考慮すれば、一概に買主負担とも言い切れないのではないか。法廷内外の争いをもう少し見極める必要があろう。


BRIEFING目次へ戻る