BRIEFING.020(2002.01.24)

大阪の「筋」と「通り」に例外あり

大阪市内の道路は南北に「筋」、東西に「通り」が原則である。

筋には、あみだ池筋、なにわ筋、四ツ橋筋、御堂筋、心斎橋筋、三休橋筋、堺筋、松屋町筋、谷町筋、上町筋、今里筋等がある。通りには曾根崎通り、土佐堀通り、長堀通り、本町通、中央大通り、千日前通り、道頓堀通り等がある。

しかし、この原則に当てはまらないものもある。

中央区のアメリカ村を東西に貫く周防町筋(市道玉造西九条線)である。地図には周防町筋と記載されており、一般にもそう呼ばれている。なお、この道路は都市計画道路でもあるが、都市計画道路としての名称はなぜか周防町通線となっている。慣習を無視して原則をとったということであろうか。

もうひとつは同じく中央区の三津寺の南側の東西の通り、三津寺筋(市道三ツ寺町線)である。三津寺通りという言い方も聞かないではないが耳になじまない。地図にも三津寺筋と記載されている。

さらに、心斎橋筋商店街振興組合発行(H9.6)の書籍「心斎橋の文化史」の中で相蘇一弘氏は「近世の心斎橋筋」において、同様に通りであるはずなのに筋と呼ばれているものの例として、清水町筋、八幡筋(市道清水町線、市道八幡筋線)をあげている。また逆に、南北なので筋でよいはずの心斎橋筋を心斎橋通りと記す文献も多くあることを指摘している。

そこで、天保年間(1830〜44年)に出版された古地図「浪華名所獨案内」で調べてみた。

すると驚くべきことに「通り」であるべき東西の道に「淡路町スジ」「平野町スジ」の記載が見られる。また逆に「筋」であるべき南北の道に「日本橋通」「心斎橋通」「谷町通」とあるではないか。通りと筋がほぼ逆転していると言ってもよい。

また「堺筋通」という重複した記載も見られる。

そしてこの地図の左下隅には「大阪平野町通淀屋橋 石川和助」と出版者の記名があるが、ここでは「平野町通」であるから不思議だ。

「筋」と「通り」の原則は意外と最近に成立したものかもしれない。

なお、大阪市建設局は市内の幹線道路に愛称を定めているが、前述の例外の筋については愛称を定めていない。比較的、幅員が狭い道路であるので定めていないのであろうが、もしこれらに愛称を定めるとすれば、どのように判断すべきであろうか。


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