] コラム207:不動産鑑定評価における消費税の扱い(2)−加地都市鑑定所

BRIEFING.207(2009.08.31)

不動産鑑定評価における消費税の扱い(2)

仕入れに係る消費税を、消費税としては転嫁できず、本体価格に吸収しなければならない取引があることを、前回述べた。今回、もう少し分かり易い具体的例で説明する。

これらは、非課税の売上げであるのに、それに対応する課税仕入れがあるものである。

(1)宅地の販売
山林を取得(非課税)してそれを造成(課税)して販売(非課税)した。造成に係る消費税は宅地の本体価格の構成要素となる。

(2)住宅の賃貸
宅地を取得(非課税)して住宅を新築(課税)して賃貸(非課税)した。新築に係る消費税は家賃の本体価格の構成要素となる。

しかし、不動産鑑定評価においては、すべて税抜きが基本である。

そうすると、不動産鑑定評価によって宅地の積算価格を求める場合、その再調達原価の内訳から、造成に係る消費税が抜け落ちてしまう。

また、不動産鑑定評価によって住宅の積算賃料を求める場合、その内訳から、建築費に係る消費税(の償却)や、維持管理修繕費に係る消費税が抜け落ちてしまう。

これでは現実的でない。

ただ、造成費や建築費の査定において、5%程度は誤差の範囲とも考えられる。実際、建設会社等、数社に見積もりを依頼すれば、会社間でもっと大きな差が出ても不思議ではないのである。

しかし消費税率が10%、15%となってくればそうもいかない。

当面、税率のアップはなさそうであるが、今の内にこの問題をきっちりと整理しておく必要がありそうである。


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