BRIEFING.215(2010.01.15)

旗竿状の分筆で合計価格増加?

宅地の形状は正方形か長方形かが好ましく、その単価はそうでないものに比べて高いことが知られている。建物の敷地として利用しやすいからである。間口が狭い等の妙な形状では、単価が安くならざるを得ない(BRIEFING.130参照)。

一方、規模の大きすぎる宅地は、地域の状況から見て適当な規模のものに比べ、単価が安くなる傾向がある(BRIEFING.027055085参照)。

150u程度の一戸建て住宅の敷地が標準的使用である地域(BRIEFING.059参照)において、300uの宅地があったとすれば、その価格は150u程度のものに比べて安い。したがって、300uを150uずつに分筆した方が、宅地の合計価格は上昇するのである。

しかしそれは十分な間口がある場合である。たとえば間口20m・奥行15mの長方形なら、羊羹を切る如く、間口10mの150u、2区画に分ければよい。

だが間口10m、奥行30mの長方形ならどうか。羊羹切りすれば使い勝手が大変に悪くなる。

そこでこのような宅地を旗竿状に分筆することが多く行われている。

手前に間口7m・奥行18mの長方形の宅地(126u)を取り、端に3m×18mの専用通路を設けてその先に10m×12mの長方形の宅地(54u+120u=174u)を確保する、といった具合である。

専用通路は「竿」部分、奥の長方形が「旗」である。

これにより、規模が適正になり、合計価格を上昇させる効果があるだろう。

しかし一方で旗竿状の「竿」部分は駐車場程度にしか使えず、「旗」部分も開放感のない宅地となり、単価は下がる。その結果、合計価格を下落させる効果も働くだろう。

この2つの効果のどちらが大きいかは、一般社会の状況、地域の状況、その宅地の状況等により異なり、旗竿状の分筆をすべきか否かは、プロの判断のしどころとなる。


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