BRIEFING.222(2010.05.20)
ふるさと創生1億円の金塊、あのとき買っておけば・・・。
兵庫県淡路市は、1989年、竹下内閣の「ふるさと創生事業」で交付された1億円を担保に、三菱マテリアルから金塊(53.5kg)を借り受け、同市内の資料館で展示していた。
この交付金は「地方交付税」であるからその使途に条件はなく、各地方自治体はその使い道に知恵を絞ったものである。その中でも同市(当時は津名町)のこの使途は、当時、特に話題となった。
賛否両論あったものの、その後の地域活性化に大きく寄与したものと思われる。
しかし最近の金価格高騰で、貸主が保証金6,000万円の追加を求めてきたことから、先日、その返還が行われたところである。
さて近年、ユーロ圏の財政不安を背景に、金価格の上昇が著しい。
「ふるさと創生」当時の1989年と昨年、そして今年4月の金の平均価格を比べると下表の通りである。
米ドル/トロイオンス | 円/グラム | |
1989年 | 381.55 | 1,725 |
2009年 | 973.01 | 2,951 |
2101年4月 | 1,148.58 | 3,470 |
その価格は米ドルで3.0倍、日本円で2.0倍にもなっている。先日はNY先物市場で取引途中ながら市場最高値の1,249.70ドル/トロイオンスまで上がったという。
そうすると、あのとき町が金塊を借りずに買っておれば、今、大きな利益を得られたことになる。
もちろん逆の場合もあろう。金価格が大きく下がった場合である。この場合は、借り物でよかった、となる。(価値の下がった)金塊を返せば、元通り日本円で1億円が戻ってくるのであるから。
不動産を借りるか買うかの判断もこれに似ている。しかし同期間は「失われた20年」とほぼ重なり、不動産については、買わずに借りておればよかった、という結果になったことは周知の通りである。