BRIEFING.227(2010.07.12)

積算価格における取壊し費用の考慮(1)

BRIEFING.226で、収益価格には、大雑把ながら還元利回りに建物取壊し費用が考慮されていると考えられることを述べた。

一方、積算価格では、十分に残存耐用期間がある場合には考慮せず、取壊しがあと10年程に迫ってくれば建物価格と相殺、そしてすぐにでも取壊しなら(更地価格−取壊し費用)、ということを述べた。収益価格以上に大雑把とも思える。

では、残存耐用期間が50年(新築)、25年、0年の場合に、取壊し費用の現在価値が、今の積算価格にどれくらい影響するのか、割引率を変えて見てみる。

建物取り壊し費用考慮前の積算価格は、それぞれ次の通りとする。
残存期間  土地  建物  合計
  50年 10億円 10億円 20億円
  25年 10億円  5億円 15億円
   0年 10億円  0億円 10億円
 
次に、3通りの割引率、3通りの期間について複利現価率を求める。
残存期間  7%  5%  3%
  50年 0.0339 0.0872 0.2281
  25年 0.1842 0.2953 0.4776
   0年 1.0000 1.0000 1.0000
 
建物取壊し費用を8,000万円として、これに複利現価率を乗じ、その現在価値を求める。
残存期間  7%  5%  3%
  50年  272万円  698万円 1,825万円
  25年 1,474万円 2,362万円 3,821万円
   0年 8,000万円 8,000万円 8,000万円

次回はこの現在価値が、取壊し費用考慮前の積算価格に対し、どれくらいの割合かを求め、残存耐用期間がどれくらいあれば無視しうるものか検討する。


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