BRIEFING.249(2011.05.23)

高円賃、高専賃、高優賃、一本化へ

高円賃・高専賃・高優賃・・・それぞれ高齢者向け賃貸住宅の一種なのだが・・・。

4月27日、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)改正案が可決・成立しこれらの制度が一本化されることとなった。

そもそもこの法律は、高齢者の円滑な入居を促進するための賃貸住宅の登録制度や、良好な居住環境の高齢者向け賃貸住宅の供給を促進するための措置を規定したもの。借地借家法の特例である終身建物賃貸借制度を定めている点も重要である。

今回の改正は、「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度の創設と「高円賃」の登録制度の廃止が柱。「高専賃」も「高優賃」もなくなる。現在、政省令についてパブリックコメント募集中である。

「サービス付き高齢者向け住宅」とは、高齢者向けの賃貸住宅または老人福祉法の有料老人ホームであって、状況把握サービス、生活相談サービス、その他必要な福祉サービスの提供があるものである。

登録は、それぞれの建築物ごとに受ける。そしてその事業者には、誇大広告の禁止、登録事項の公示等が義務付けられる。

さて、今更ではあるが、高円賃・高専賃・高優賃とはそれぞれ次の通りである。

●高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅)
高齢者の入居を拒まない賃貸住宅で、賃貸人がそれを都道府県に登録したもの。登録に当たっては1戸当たり最低床面積等の要件を満たす必要がある。

●高専賃(高齢者専用賃貸住宅)
高円賃のうち、専ら高齢者を賃借人とするもの。高専賃として登録ができる。さらにこのうち、厚生労働省の基準に適合するものとして登録したものが「適合高専賃」。

●高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)
高円賃のうち、バリアフリー化がなされ、緊急時対応サービスのあるもの。建設・改良等に国や地方公共団体の助成、住宅金融支援機構の融資、さらに税制の優遇が受けられる。

これらの住宅には、医療・介護事業者との連携が不十分という課題があった。「サービス付き高齢者住宅」は、居住環境のみならず、一定のサービスを提供する高齢者住宅であり、登録基準を満たす有料老人ホームを取り込んだ、厚労省・国交省共管の制度として再構築されたものである。


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