BRIEFING.25(2002.3.7)

建設協力金返還債務の承継

建設協力金とは、建物の賃貸借に際して、賃借人が敷金とは別に賃貸人に預ける一時金で、貸主の建築費の負担軽減を図る意味を有し、賃貸借契約とは別個の金銭消費貸借としての性格をもつものである。一般には次のような内容であることが多い。

@返還期日が賃貸借の終了と関係なく定められている。
A据置期間(10年間等)後、一定期間で分割返済することとされている場合が多い。
B返済期間中には利息を付する場合もある。
C賃料債権の担保たる敷金とは、別立てとなっている。
D賃貸借契約と同一の契約書である場合と、別の契約書である場合とがある。
E建物竣工後、初めての賃貸借契約に当たって授受される。
F金額が建築費相当額等、多額である。
G事務所、店舗の一棟貸しに見られ、住宅には見られない。

このような建設協力金に関する契約は、その名称の如何にかかわらず、賃貸借契約とは別個の金銭消費貸借契約であり、敷金とは違い、当然に新所有者に引継がれるものではないと考えられている。したがってこのような一時金は、建物所有者が、売買で変更になったり、競売で変更(買受人に対抗できる場合)になったりした場合、その債務は新所有者に承継されないのが原則と考えられる。

しかし、その性格が明確でない場合、たとえば、返還期日が賃貸借の終了と関係なく定められているものの、返済が終了しないうちに賃貸借が終了した場合には、その後の返済方法につき双方協議する旨、定められている場合はどうか。賃貸借の期間も返済終了までの期間もともに20年間である場合はどうか。

建設協力金は通常その額が大きく、賃借人にとっては大変な問題である。


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