BRIEFING.252(2011.06.30)
3社の空室率、その調査対象は?
毎月公表されるオフィスビルの空室率は、日本経済の姿、企業の投資意欲、都市の趨勢などを窺い知る指標として興味深い。
その主なデータの出所は3つある。CBリチャード・エリス、三鬼商事、ビルディング企画の3社である。そしてその調査対象にはやや違いがあり、その結果も異なる。
各社が主に公表する空室率の対象ビルは次の通りである。
●CBリチャード・エリス(以下C)
(1)東京Aクラス
主要5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)を中心とするオフィス街として成熟度の高い地域、または将来性の高い地域。延床面積約1万坪以上、基準階面積2百坪以上。築21年未満。設備は天井高2.6m以上他省略。
(2)大阪Aクラス
中央・北・西・淀川区を中心としたオフィス街として成熟度の高い地域で、改札口より徒歩5分圏内。延床面積約5千坪以上、基準階面積2百坪以上。築21年未満。設備は天井高2.6m以上他省略。
●三鬼商事(以下M)
(1)東京ビジネス地区
都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)内にある基準階面積百坪以上の主要貸事務所ビル。
(2)大阪ビジネス地区
主要6地区(梅田、南森町、淀屋橋・本町、船場、心斎橋・難波、新大阪)内にある延床面積千坪以上の主要貸事務所ビル。
●ビルディング企画(以下B)
(1)東京主要5区大型ビル
千代田、中央、港、新宿、渋谷区において、テナント募集を行った基準階面積百坪以上のビル。
(2)大阪大型ビル
大阪市においてテナント募集を行った基準階面積百坪以上のビル。
Cに比べMは小さい規模のビルまで含んでおり、さらにBは「テナント募集を行ったビル」であるから満室のビルを含んでいない。そうすると公表される空室率は、C<M<B、と予測される。
しかし最近公表された5月のデータは次の通り、(1)についてはCBM、(2)についてはBCMの順。ちなみに4月のデータも同順である。どうもスッキリしないがどの社のどういう種類のものかを確認の上、利用する必要があろう。
C | M | B | |
(1) | 4.7 | 8.88 | 8.39 |
(2) | 10.3 | 12.00 | 10.23 |