BRIEFING.253(2011.07.19)

更新料は有効−3件まとめて最高裁判断

賃貸住宅の賃貸借期間は通常2年か3年で、両者異議なければ期間満了後は自動更新というのが一般的である。但し京都や東京では、更新に際し、借主から貸主へ更新料を支払う旨の規定が契約に定められている場合が多い。その金額は賃料の1または2ヶ月分が普通である。

さて、この更新料が、消費者契約法に照らして有効か否か(消費者の利益を一方的に害するか)につき、これまで3件の高裁判決があり、有効1件、無効2件となっていた(BRIEFING.211)。

今月15日、最高裁はこれら3件についてまとめて「原則有効」と判断した。

昨今は借り手市場であるから、借主は更新料のない契約を選択することも(但し賃料がその分高いと考えられるが)可能であっただろう。そういった中、更新料を払う契約を選択したのであるから、有効は当然と考えられる。

ただ、説明が十分でなかったとか、どの物件も更新料が必要といった虚偽の説明があったとか、個別の事情があれば話は別である。

ところで、仮に更新料が「消費者の利益を一方的に害する」ものであったなら、それが今までなぜ市場で淘汰されずに生き残れたのだろうか。説明は困難である。

更新料の是非は、一部の識者が決めるのではなく、市場が決めればよい。

では、極端な住宅不足等、貸し手市場であったならどうだろう。それをよいことに更新料を取るというのはいけないことであろうか。

否、住宅不足の時こそ、住宅供給を妨げる規制(更新料の禁止等)を排し、補助金を出してでも住宅を増やすべきなのである。それにより、賃貸住宅供給が増え、競争が生じ、賃料の下落、更新料の消滅、さらにはフリーレントの普及へとつながるのである(それが行き過ぎると供給が減ってしまうが)。

今年3月と今月12日には、敷引きを有効とした最高裁判決もあった(BRIEFING.246参照)。

数年前には、売れ残りマンションの値引き販売の可否、自動増額特約付き賃貸借契約の減額請求の可否も争われ、いずれも可で決着した(BRIEFIBG.137参照)。

いずれも冷静・妥当な判断で、今回も司法は信頼を保ったと言えるのではないだろうか。


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