BRIEFING.267(2012.01.19)
地価連動国債で持家・借家のリスクヘッジを(1)
土地神話が消え去ってからも、我々は年収の数倍もの借金をして住宅を購入しようとする。
妥当な判断だろうか。
たとえば、ローンを組んで住宅を買った勝田さんは住宅の所有権を取得するが、毎月金利を払い、元本を返済してゆかねばならない。
一方、同等の住宅を借りた刈田さんは、毎月家賃を払ってゆくだけでよいが、後には何も残らない。
そしてその後、資産インフレが起こり不動産価格が急騰したとする。
勝田さんは持ち家の価格が上がる一方、借金が実質的に目減りし、大喜びである
それに対し刈田さんは、家賃の値上げを迫られ、預金は目減りし、何もよいことがない。もう一生家が買えないかも知れない。
ところがデフレとなればその逆である。
勝田さんは、持ち家の価格が下落し、面白くない。残債が時価を上回れば債務超過となり、売るに売れない。
それに対し刈田さんは、家賃を値下げしてもらって大喜びとなる。貯金もできる。安くなった家を買うことも考えられるだろう。
さて、勝田さんになるか、刈田さんになるかは思案のしどころであるが、どちらにしてもインフレ・デフレに対してリスクがある。特に勝田さんは借金までしている(レバレッジを利かせている)ため、デフレに対し大きなリスクをかかえていることになる。
かつては、勝田さんが大喜びし、刈田さんは悔しい思いをしてきた。そして今ではその逆である。今後のことは分からない。
そこで、これらのリスクをヘッジするため、地価連動国債を作ってはどうか。
発行後に地価が上昇すれば、その上昇率に応じて満期償還金額が増加し、利払い金額についても、表面利率は固定だが、計算基礎となる元本額が増加するため、受け取り利子額も増加する、といった国債である。
次回そのメリットを検討する。