BRIEFING.27(2002.3.18)

地積過大による減価の本質

不動産の鑑定評価において土地の比準価格を求める場合、対象不動産の面積が、地域における標準的な画地の面積に比べて大きい場合、対象不動産の価格(単価)は標準的な画地の価格に比べ、低く査定されるのが一般的である。

この場合の減価の要因を「地積過大」という。その減価の理由としては、次のことが考えられる。

@総額が膨らむと需要が限定的となる。
A量がまとまれば割引があるべき。
B標準的な規模の画地に分割すれば、私道の築造により潰地が生ずる。
C分割の結果、私道の築造等の工事費が生ずる。
D分割の結果、接面条件等に劣る画地が生ずる。

これらをまとめて勘案することは危険だ。それぞれ別個に考慮する必要がある。地域性や形状によってはこれらの一部のみを考慮するだけでよい場合もあるだろう。また考慮する度合いも様々であるはずだ。

Dは「地積過大」から切り離し、「奥行逓減」の概念で減価の要因としてもよいだろう。

また、対象不動産が角地や二方路地である場合には、分割しても潰地が生じなかったり、潰地を少なくしたりすることができるだろう。この場合、B〜Dの程度を斟酌して「地積過大」の程度を縮小する方法と、一旦、側道や背面道がないものとして「地積過大」の減価を査定した上で現実の側道・背面道によるB〜Dの減価の緩和の効果を「角地」「二方路地」という増価の要因と捉える方法とがあろう。

いずれにしろ、減価や増価の重複した考慮、または欠落がないように注意が必要である。そのためには、分割後の個々の画地を評価し、その総額から工事費を控除し、それを総面積(潰地を含む)で除し、さらに@Aを考慮した価格を求めてみる必要がある。そして「地積過大」その他の個別的要因の相乗積を乗じて求められる価格と比較し、検証しておく必要があろう。

そのためにも、「地積過大」による減価の本質を見極めておく必要がある。

なお、マンション等の一体利用が合理的となれば、その希少性から標準的な画地より高い価格が適正と考えられる場合もあろう。この場合、標準的な画地の価格に比べ、増価を認めることとなるが、想定される利用規模が異なる以上、標準的な画地からの比準には意味がなく、他のマンション適地の取引事例から比準すべきであろう。


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