BRIEFING.270(2012.02.23)

『特定』地域の『特別』地区で道路上建物OK(2)

現在、道路法32条(私権の制限)や建築基準法44条(道路内の建築制限)は道路を建物の敷地とすることを原則として禁じている。そして例外的に派出所や歩廊(アーケード)、地下街について、道路内に建築することを認めている。

また、平成元年にできた立体道路制度もある。

その第1号は、阪神高速梅田出口付近で、高速道路の降り口が、ビルの5〜7階部分を貫通している。余談だが、ビルのテナント案内板の5〜7階部分には「阪神高速道路」と記されている。

また、東京の環状2号線(マッカーサー道路)の虎ノ門付近(H26年供用開始予定)は、35階建てのビル(H26年竣工予定)の地下部分を、この制度で貫通する予定である。

しかしこれらは、いずれも新規または改築された道路、しかも自動車専用道路に限定されている。

さて、前回紹介した『特定』地域の『特別』地区で認められる道路上建物は、既存の道路、しかも人が歩ける道路の上にもOKとのこと。

道路は、その幅員で接面する画地の容積率を律し、道路斜線で建物の高さを制してきた。また、相続税路線価や固定資産税路線価があるように、接面する画地の地価を決定付ける基礎でもある。その道路(しかも既存の人も歩く道路)を、建物が跨ぐことになるのは画期的である。

建物の「敷地」の概念も修正を迫られそうだ。

しかし、建物についても、道路についても、安全性には十分な配慮が必要であることは言うまでもない。

ところで、跨いだ道路の上の窓を掃除する際、歩行者に水が掛からないだろうか。何かよい工夫をお願いしたい。


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