BRIEFING.271(2012.03.05)

難しすぎる、負担調整措置

土地に係る固定資産税は、その年度の課税標準額に税率(原則1.4%)を乗じて求められる。課税標準額(以下「課標額」という)についての大まかなルールは次の通りである。

○評価額は公示地価の70%の水準
○住宅用地の課標額は評価額の1/3
○小規模住宅用地(200uまで)は1/6
○非住宅用地にはこのような軽減はない

そしてこれに加え、負担調整措置があり、実際の課標額は、上記で求められる課標額よりさらに安くなっている。そのルールは複雑だ。

非住宅用地の場合の負担調整措置は次の通り(条例による修正には触れない)。

まず、負担水準=前年度課標額÷当年度評価額 を覚えてほしい。前年度÷前年度でなく前年度÷当年度という所がややこしい。

この前年度÷当年度の負担水準により、当年度課標額は次の通りとなる。
@70%超  →当年度評価額の70%
A60〜70% →前年度課標額と同じ
B60%未満 →前年課標額+当年度評価額×5%=A

Aが前年度課標額の5%増でなく、当年度評価額の5%増というのもややこしい。

但し、Bの場合で、上記A÷当年度評価額の水準により、当年度課標額は次の通りとなる。
C60%超  →当年度評価額の60%
D20%未満 →当年度評価額の20%

当年度課標額を当年度評価額の70〜20%に収めるという趣旨は理解できる。またCのルールは、負担水準59%の人が60%の人(据置)を追い越してしまうのを防ぐ趣旨だろう。

しかし、Aのルールは必要だろうか。負担水準70%の人(据置)がいる一方で、60%の人も据置では不公平ではないか。

また、20〜30%の人まで当年度評価額の5%増額だけでは、60〜70%の人に不満があろう。これまで優遇されてきた人の優遇を(若干縮小とはいえ)温存する必要はない。早期に負担水準を一定に収束させることを優先すべきである。

そしてルールの簡素化も必要だ。複雑にしておいて「請求通りに払ってればいいんだ」ではいけない。


BRIEFING目次へ戻る