BRIEFING.272(2012.03.15)

更新料は利息??

昨年、賃貸マンション等の更新料は、賃料と比べて高すぎなければ有効との判決(H23年7月最高裁)があったばかりだが、先般、期間1年の契約で賃料の2.4ヶ月分を越える部分について更新料を無効とする判決(H24年3月京都地裁)があった。

新聞によると、本件賃料は48,000円/月、更新料は150,000円/年である。敷金の有無は無視して実質賃料を計算すると次の通り。

48,000円/月+150,000円/年÷12月=60,500円/月

判決は、利息制限法の制限利息が年2割であること等から、年額賃料の2割が相当とし、賃料2.4倍を越える(3.125倍)とはけしからんと言う。

月額賃料×12月×2割=月額賃料×2.4倍 という計算だ。

そして、表面的に賃料が安いと見せかけるとは、信義則に反するという訳である。

疑問点は3つある。

@更新料と賃料は、比例関係でなく、反比例の関係では?
A年2割までOKの根拠が制限利息とはなぜ?
B月額賃料だけを見て、本当にだまされた?

@は今回の判決でなく、昨年の最高裁判決に対する疑問であるが、不動産関係の方なら誰もが首を傾げたくなる。両者はトレードオフの関係のはずである。高い賃料なら更新料なし、安い賃料だから更新料が高い。賃料0で更新料100万円/年でもおかしくない(すなわち賃料年払いということ)。

Aは唐突というか的外れというか・・・。珍説・奇説と言わねばならない。

Bは本件賃借人の主観に係るが、重要事項として説明されていなかったとすれば問題だ。しかし、今更・・・という印象は拭えない。客観的には不自然であろう。

ともかく、賃料等の額と支払い方法については契約当事者が決めること、市場が決めることである。

一般に遊園地では、入場園料を取った上に乗り物の料金を取る。一方、東京ディズニーランドでは、入園料は高いが各アトラクションの料金はタダだ。年間パスもある。どれがよいかはお客さんに聞けばよい。

BRIEFING.211253も参照されたい。


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