BRIEFING.273(2012.03.26)

今年の地価公示は「西高東低公示」

先日、地価公示法に基づき、平成24年1月1日現在の標準地の価格が官報公示された。

それによると、全国平均で住宅地が▲2.3%、商業地が▲3.1%といずれも下落幅が前年より縮小している。国土交通省は「大震災の影響により、不動産市場は一時的に停滞したが、被災地を除き、比較的早期に回復傾向を示している。」と分析している。

しかし、原子力災害対策特別措置法により設定された警戒区域内の17ポイントについては、調査が休止されたことを忘れてはならない。

さて、地域別に見てみると、名古屋圏から西の都市において、上昇ポイントの増加が目立ち、「西高東低」の傾向となっている。

九州については九州新幹線鹿児島ルートの全線開業が追い風となっている。

また、東京都内においても、地盤が弱く液状化や浸水の可能性が高い東部に比べ、地盤がよいとされる西部において、下落幅縮小の傾向が高く、都内版「西高東低」となっている。

東日本大震災の被災地においても、下落ばかりとは限らない。宮城県においては、浸水のなかった高台の住宅地への需要が高まり、上昇ポイントが現れた。

沿岸部よりは内陸部ということで、ここでも「西高東低」と言えそうだ。

そこで今年の地価公示を「西高東低公示」と名付ける。

近年の地価公示及びその前年の主なキーワードは次の通り。それ以前の地価公示についてはBRIEFING.194072参照。

平成24(2012)年 西高東低公示・・・・・・復興特区。除染。スマートハウス。
平成23(2011)年 なお書き付き公示・・・・エコポイント。IFRS。新・成長戦略。
平成22(2010)年 ショック公示・・・・・・政権交代。官民ファンド。空室率上昇。
平成21(2009)年 百年に一度の危機公示・・リーマンショック。世界同時不況。


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