BRIEFING.281(2012.07.19)

大規模集客施設の開業とその周辺地価

5月22日開業した「東京スカイツリータウン」(東京都墨田区)は開業から49日間で約856万人の来客を集めたという。ツリー展望台には約64万人が上がったそうである。

その集客力は周辺地域にも好影響を与えたと見られる。

一方、昨年4月26日グランドオープンした「あべのマーケットパーク・キューズモール」(大阪市阿倍野区)は、オープンからの1年間で来客数が約2,700万人に達したという。

これもまた周辺地域に好影響をもたらしたと考えられている。

さらに日本一の超高層ビルとなる「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の開業(H26年春グランドオープン予定)も控え、周辺地域はさらなる発展が期待されているところである。

両地域至近の地価公示価格(円/u)を見てみると次の通り。

墨田5−12(押上1丁目)
●H24 661,000(+3.0%)
●H23 642,000(+0.6%)
●H22 638,000

阿倍野5−4(旭町1丁目)
●H24 555,000(+3.0%)
●H23 539,000(-4.6%)
●H22 565,000

広域的にはまだ下落基調が残る中、ともに上昇に転じていることは注目すべきである。

しかし、その周辺の人たちの実感はどうか。

スカイツリーは、開業前こそよかったが、開業後は人がタウンの外へ出てこず、消費はすべてタウン内で行われてしまうという声が聞こえる。

キューズモール隣接のスーパーマーケットは、キューズモール内の類似施設と競合し、売上を大きく落としている。道路を挟んだ向かいの居酒屋チェーン店も同様だという。

周辺オフィスビル・オーナーには、ハルカスにテナントを奪われるのではないかとの危機感もある。テナント引き留めのため、さらなる賃料の減額も考えられる。

これらの現象が一時的なものであり、相乗効果で周辺地域を含めた活性化につながるものであることを期待する。


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