BRIEFING.291(2012.11.29)

ガイコツになっても手数料必要−屋外広告物の許可審査

屋上の広告塔が、白く塗られたまま、もしくは鉄骨むき出しのまま、というのが目につき始めて久しい。

電通「2011年日本の広告費」によると、媒体別広告費で2011年の屋外広告費(広告板、ネオン、屋外ビジョン等屋外広告物の制作費と掲出料)は2,885億円(対前年▲6.8%)、2010年は3,095億円(対前年▲3.8%)で、その凋落ぶりは明らかである。

一方、インターネット広告費は2011年で8,062億円(対前年+4.1%)、2010年で7,747億円(+9.6%)であった。

ビル・オーナーとしては、見苦しい上、鉄骨の塗装等の維持管理費がかかるため、広告主のいない広告塔は撤去してしまいたいところだが、その費用は巨額である。

ところで、屋外広告物の設置は、良好な景観の形成、風致の維持、公衆に対する危害防止等の観点から、都道府県や政令市等の条例で規制されており、新たな広告物の設置、既許可の広告物の変更、許可期間後の継続設置については、原則として市長等の許可が必要である。また広告物の竣工、撤去等の後には、届出が必要とされている。

この他、道路上空へ突出看板を掲出する場合には道路法に基づく道路占用許可が、高さ4mを超える場合には建築基準法に基づく工作物確認等が必要となる。

また、条例に基づく許可申請に際しては、広告物の面積に応じた手数料が必要で、期間満了後の継続設置の許可申請に際しても同様である。

その手数料及び期間の例は、屋上広告塔の場合で、次の通りである。

東京都:5uまで毎に3,220円(2年)

大阪市:5uまで毎に 950円(2年。一定の場合3年)

東京で5m×5m×4面=100uなら、2年で64,400円、月2,683円程度である。

そして、この手数料、広告主が撤退しても、広告塔自体が残っておれば必要となる。白塗りや、鉄骨むき出し(業界ではガイコツと呼ぶ)状態でも必要だという。

さて、大阪市では屋外広告物条例を緩和し、役所、学校、図書館等への設置禁止を解除すべく準備中である。業種、形状等の規制を設け、デザイン性の高い芸術作品的価値を認め、もちろん収入も得る、といった目論見であるが・・・。ガイコツを晒すことにならないことを望む。


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