BRIEFING.295(2013.01.16)
標準画地規模と取引の中心となる画地規模
同地域に近接して存する土地であっても、個々の土地の形状や接面方位といった個別的要因によってその価格は異なる。画地規模もその個別的要因の1つである。
たとえば一戸建住宅地域において、同じ道路に同じ向きに面して隣接する2つの四角い土地があり、1つは100u(間口7m×奥行14m)、1つは200u(間口14m×奥行14m)であったとする。この場合、一般的には前者の価格(単価)の方が高いと考えられる。
前者は総額が押さえられ十分な需要があるのに対し、後者を取得できる層は薄く、買手が限られるからである(分割を目論む建売業者が買うが決して高くは買わない)。
ところで、ある地域の地価水準は、その地域の標準的画地規模の価格で語られる。つまり、200uが標準的な画地規模なら、その単価がその地域の地価水準である。
しかし、その地域において多く取引される画地の規模は、標準画地規模とは異なる場合がある。
標準画地規模は200uなのに、売買されやすいのは地域でも小さい方である100u程度が中心であったり、200uで売買されても、買主は不動産業者で、それが100uの2区画に分割されて転売されたりする。
そうすると、標準画地規模と、取引の中心となる画地規模に差が生じ、その結果として地域の地価水準が上昇したかのように理解されることとなる。
標準画地規模(たとえば200u)の価格水準はむしろ下落していたとしても、取引の中心となる画地規模(たとえば100u)の価格水準が高いためである。
これらはしっかりと区別して考えなければならない。
一方で、どれくらいの規模が最も単価が高いのかといった判断が大変に難しいという問題がある。
条例で最低敷地規模が定められている地域についてはさておき、そうでない地域においても、ただ小さければよいといったものでもないことは言うまでもない。標準画地規模との比較を踏まえた相対的な規模も関係しよう。
また、用途にもよる。小規模店舗が建ち並ぶような地域なら、最低限の間口さえあれば1坪もあればよい値が付くかも知れないが、大規模工場が集積する工業地域でならほとんど価値はないだろう。
標準画地規模と取引の中心となる画地規模の相違は、やがて後者に収束することによってなくなると予想される。しかしそれには何十年といった期間が必要であり、その間にまた違った方向への波がやってくるかも知れない。地域は常に変動の過程にある。