BRIEFING.003(2001.09.17)

小作料に宅地並課税の転嫁否定の最高裁判決
 
いわゆる市街化農地が、生産緑地の指定を受けられなかった(地主は希望したが小作農が同意しなかった)ために宅地並課税を受けることとなり、地主が小作料と固定資産税等との逆ざや状態を解消すべく小作料の増額を求めていた裁判で、これを認めない旨の最高裁判決(H13.3.28)があった。理由は概ね次の通り。
 
 @農地法が、小作料の増減事由として公租公課の増減をあげていないこと。
 A宅地並課税による税負担は、農地の値上がり益を享受する地主が担うべきであること。
 B逆ざやは、契約解除によって宅地に転用することにより解消が可能であること。
 C生産緑地の指定に小作農が同意する義務はないこと。
 
上記Bに関しては、通常多額の離作料が必要であり、契約解除など簡単にできるのであろうかという疑問がある。これに対し判決は「具体的事案に応じた適正な離作料の支払を条件とした知事の許可を得て、解約を申し入れることができるものと解される」と述べている。

「具体的事案に応じた適正な離作料」とはいかなるものか。これについて判例タイムズNo.1058は、「世上見掛ける高額の離作料は必ずしも適正な離作料といえるものではないことを当然の前提としているものと思われる。」と解説している。
 

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