BRIEFING.30(2002.4.18)
公団の売れ残りマンションの値下げトラブルのその後
公団の分譲マンションの売れ残り分値下げ販売に関する訴訟については、BRIEFING.2 で述べた。浦和市でも横浜市都筑区でも、先に購入した住民側が敗訴、その後控訴していたのであるが、浦和市(夢海の街)の事件で、平成13年12月東京高裁で判決があった。結果は住民側の控訴棄却であった。
争点は8つあった。
まず、「公共的な使命を負う公団といえども(中略)不動産市況の変化に応じてその譲渡価格を定めざるを得ない」とし、また控訴人の主張する「同一団地同一価格体系の原則」の必要性も認めず、差額清算の義務を否定した(争点1,2)。
さらに、公団が「値下げ販売の可能性を説明する義務を負っていたと認めることはできない」(争点3)、「再譲渡制限が控訴人らが本件譲渡契約により取得した住宅等の隠れたる瑕疵に当たると解することはできない」(争点4)、公団の譲渡対価決定方法について「原価主義を規定したものとまで解することはできない」(争点5)と判示している。
また、その他の争点についても控訴人側の主張を退け、原判決は正当と結論付けている。
減額請求権のある賃料と異なり、価格はその後の経済情勢の変化があったとしても後から変更できない。買うということはその後の価格変動に対するすべての責任を負うことである。売主が公団であるにもかかわらず、契約した時点ですでに販売価格が高すぎたという点にやや引っかかりはあるが、他の多くの民間分譲マンション購入者のことを考えれば妥当な判決と言えよう。
判決は「値下げ販売により居た堪らない被害感を余儀なくされた控訴人らの心情はまことによく理解できる」とも述べている。これもまた妥当と言えよう。
もう一方の横浜市都筑区(コンフォール東山田)の事件では、控訴審が続いており、今月22日に次回期日が予定されている。