BRIEFING.300(2013.03.26)

今年の地価公示は「アベノミクス公示」

地価公示法に基づき、平成25年1月1日現在の標準地の価格が官報公示された。

それによると、全国平均の対前年比で、住宅地が▲1.6%(前年は▲2.3%)、商業地が▲2.1%(前年は▲3.1%)で、リーマン・ショック以来5年連続の下落となった。しかし下落幅は縮小、上昇や横這い地点の増加が見られる。

住宅地の上昇率上位5地点はいずれも東北地方の標準地で、1位は宮城県石巻市須江しらさぎ台1丁目(+23.6%)、2位は岩手県下閉伊郡大槌町大槌第16地割大石前(+15.0%)、以下、3位4位とも宮城県石巻市、5位は岩手県大槌町の地点であった。

これらは言うまでもなく東日本大震災後の高台移転需要に伴うもの。底入れの中心はやはり3大都市圏で、その平均の対前年比は住宅地で▲0.6%、商業地で▲0.5%。一方の地方圏平均の対前年比は、住宅地▲2.5%、商業地▲3.3%となっている。

中でも、景気回復を見込んだ東京都心部のビル、マンション用地需要の影響は大きい。

その背景の1つに「アベノミクス」があることは間違いない。

この言葉が聞かれるようになったのは、昨年12月下旬の安倍政権発足後と思われるが、その中身は9月の自民党総裁選出馬会見で語られており、1月1日の地価にも大いに影響を及ぼしたものと考えられる。

そこで今年の地価公示を「アベノミクス公示」と名付ける。

「アベノミクス」の3本の柱(3本の矢)は次の通り。

●大胆な金融政策(2%のインフレ目標)
●機動的な財政政策(国土強靱化等への投資)
●民間投資を喚起する成長戦略

昨秋から今日までの日経平均株価、東証REIT指数等の回復ぶりはご承知の通りである。

過去5年間の地価公示については次の通り。それ以前はBRIEFING.194072参照。

平成24(2012)年 西高東低公示
平成23(2011)年 なお書き付き公示
平成22(2010)年 ショック公示
平成21(2009)年 百年に一度の危機公示
平成20(2008)年 サブプライム公示


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