BRIEFING.305(2013.05.30)

取得した仮換地に想定外の賦課金

土地区画整事業施行地区内の仮換地を購入した買主(数人)が、その数年後に土地区画整理組合から賦課金を課されることとなった。買主とっては全く想定外のことである。

賦課金とは、土地区画整理組合が事業に要する経費に充てるため、組合が組合員に対して賦課徴収する金銭である。

この賦課金を賦課された買主らは、土地に隠れた瑕疵があったとして売主に賦課金相当の損害賠償等を求めたが、最高裁は、これを一部容認した原審(広島高裁判決)を否定し、土地の瑕疵ではないとする判決を出した。

ところで、土地区画整理法によると、組合施行の土地区画整理事業の施行地区内の宅地について「所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする」(法25条1項)こととされており、「組合はその事業に要する経費に充てるため、賦課金として参加組合員以外の組合員に対して金銭を賦課聴取することができる」(法40条1項)とされている。

本件では、次の@の時点で買主が自動的に組合員となると同時に一般的・抽象的な賦課金賦課の可能性も引き受け、その後ABを経て、Cで具体的に賦課金の支払義務を負ったという訳である。そして@の時点の「可能性」をどう評価するかが問題である。

@仮換地の売買
A保留地の分譲開始
B保留地の売れ行き不振
C組合が賦課金の賦課を決議

判決は「本件各売買の当時、被上告人(買主)らが賦課金を課される可能性が存在していたことをもって、本件各土地が本件各売買において予定されていた品質、性能を欠いていたということはできず、本件各土地に民法570条にいう瑕疵があるといことはできない」とした。

結局「土地を買ったが後に価格が下がった」というのと本質的には同じではなかろうか。売買時点で下がる可能性があったからと言って、それをもって瑕疵があったとは言えまい。


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