BRIEFING.307(2013.06.24)

用途地域と容積率の組み合わせ

都市計画法第8条第1項には都市計画区域に定められる12種の用途地域が示されており、同条第3項には用途地域に「建築物の容積率」を定めることが規定されている。これを受け、建築基準法第52条では、各用途地域において定めることのできる容積率のメニューを用意している。

たとえば、第1種低層住居専用地域なら、50%、60%、80%、100%、150%、200%、近隣商業地域なら100%、150%、200%、300%、400%、500%といった具合である。

当該地域に関する都市計画において、これらの中から適当な容積率が定められることになる。

「主として商業その他の業務の利便を増進するため」に定められる商業地域の場合、200%、300%・・・1,300%までメニューが用意されており、高層事務所・店舗ビルが建てられることを想定しているものと思われる。

しかし近年、その高容積に着目し、商業地としてではなく、住宅地としてこれを利用するケースが目立つ。すなわち都心のタワーマンションである。

商業地域の本来の目的とは異なる土地利用だが、夜間人口が増えるため、歓迎すべきことと理解される。

住宅地として高容積が求められる一方、高容積を必要としない商業地域もある。路線商業地域や、観光地の商店街等である。商業地域の指定なら、選択できる最低の容積率は前述の通り200%であるが、これらはそんなに必要のない使用方法が標準の地域である。

必要以上の容積は返って地域の景観やまとまりを乱すことにもなりかねない。

幹線道路沿いのコンビニエンス・ストアやファミリー・レストランが建ち並ぶ地域に中高層マンションが建つのは(合法的であっても)いかがなものか。このような地域には50%もあれば十分だ。

また神社仏閣の参道、温泉街、土産物屋街といった所も100%ほどでよかろう。

もっとも、地区計画で容積率を修正したり、高度地区の指定で高さに制限を加えることは可能だ。だが、そもそも用途地域と容積率とを、最初からセットにする必要はない。800%の第1種中高層住居専用地域があってもよかろう。50%の近隣商業地域があってもよかろう。


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