BRIEFING.317(2013.10.31)
学校法人の学校用地取得・所有に対する税の優遇
大阪市北区、阪急梅田駅至近、JR大阪駅・地下鉄梅田駅からもほど近い小学校跡地に大学の新キャンパスが誕生する。同大学などを経営する学校法人が平成23年に大阪市から取得していた土地で、いよいよ着工の運びとなる。
東京圏と違い、都心に大学の見られない大阪圏においては数少ない都市型大学となる。また、新たに用地を取得して、というのは、巨額の資金が要るだけにさらに希少である。都心における工場と大学の新増設を禁じていた工業等制限法の廃止(平成14年)から11年経つが、ようやく都心に大学が建てられる地価水準になったということだろうか。
ところで、学校法人の学校用地取得・保有には、税制上の手厚い優遇が用意されている。
まず、登録免許税。土地所有権移転登記にかかる国税で、買主に対し固定資産税評価額の2.0%(平成27年3月末までは1.5%)のところ、非課税(登録免許税法第4条第2項)。
次に不動産取得税。土地の取得に対しかかる地方税で、固定資産税評価額の4%(平成27年3月末までは同評価額の1/2に3%)のところ、これも非課税(地方税法第73条の4第1項第3号)。
さらに1月1日の所有者に毎年課税される地方税、固定資産税・都市計画税。土地の評価額(時価の概ね70%)に対し1.4%と0.3%のところ、これも非課税(地方税法第348条第2項第9号及び同法第702条の2第2項)。
以下にこれらの効果を試算する。面積は5,000u、価格は180万円/u、総額で90億円とし、固定資産税評価額はその70%と仮定した。固資税・都計税は毎年かかる税なので、1年分を5%で永久還元し現在価値とした。負担調整率は70%とした。金額の単位は千円。
一般事業者 | 学校法人 | |
土地価格 | 9,000,000 | 9,000,000 |
固資税評価額 | 6,300,000 | 6,300,000 |
登録免許税 税率 税額 |
1.5% 94,500 |
非課税 |
不動産取得税 軽減 税率 税額 |
1/2 3.0% 94,500 |
非課税 |
固資・都計税 負担調整 税率 税額 現在価値 |
70% 1.4%+0.3% 74,970 1,499.400 |
非課税 |
1,688,400 | 0 |
学校法人は、1億7千万円(90億に対して約19%)も安く土地を取得・所有可能と言える。この他、建物についても優遇がある。