BRIEFING.328(2014.03.17)

業界の類似資格

自治体の消費生活センターの相談員に新たな国家資格「消費者生活相談員」をあてることを含む消費者安全法改正案が、3月11日閣議決定された。

今は「消費生活専門相談員」(独立行政法人国民生活センター)、「消費生活アドバイザー」(産業能率大学)、「消費生活コンサルタント」(一般財団法人日本消費者協会)の3資格のいずれかまたは複数を持つ人、並びに資格を持たない人が相談員となっているが、改正案でも、これらの統合にまでは踏み込んでいない。

不動産関連には、統合が実現した例がある。

平成19年、「賃貸住宅管理士」(公益財団法人日本賃貸住宅管理協会)、「賃貸不動産管理士」(公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会)、「不動産賃貸管理士」(公益社団法人全日本不動産協会)の類似3資格が統合され「賃貸不動産経営管理士」となり、これを運用する一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会が発足している。

また、現在「マンション管理士」(公益財団法人マンション管理センター)、「管理業務主任者」(一般財団法人マンション管理業協会)、「区分所有管理士」(同前)、「マンション維持修繕技術者」(同前)などが併存している。

これらの職務の相違は、業界関係者であっても知る人は少ないのではないだろうか。

しかし、これらはまだ知られている方で、「敷金診断士」(NPO法人日本住宅性能検査協会)、「敷金鑑定士」(日本敷金鑑定士協会)に至ってはその相違はもとより、存在すらあまり知られていない。

確かに、賃貸住宅の敷金に関しては、退去時の原状回復の範囲と関連して複雑かつ微妙な問題が多く、その専門家がいてもおかしくはない。国交省の原状回復ガイドラインや、これに係る数々の判例を熟知した人材の育成が望まれる。

また、「空き家対策士」(全国不動産コサルティング協会)の創設も準備されている。

空き家の増加が社会問題化し、治安、防災、有効活用等、種々の問題が顕在化しつつある今、その専門家の必要性は理解できる。

だが、不動産関連だけであまり多くの資格がありすぎると、どれをどう利用すればよいのか、一般の方は迷うし、どの資格を目指すべきか、興味を持つ若者も迷うだろう。

だれか分かり易く整理してくれないものだろうか。

と思っていると「資格コーディネイター」まで現れた。但しこれはその方の肩書きで、資格ではない。しかしやがてはこんな資格が必要になる時代がくるやも知れぬ。


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