BRIEFING.332(2014.04.24)

70%、5%、3%の業界3大経験則

不動産業界では、新築分譲マンションの販売開始月における販売戸数に対する契約戸数の割合を、初月契約率、または単に契約率と呼び、その率70%が好不調の目安と言われている。新聞紙上にも決まり文句のように出てくる台詞なのでご存知の方が多いだろう。

最初の月に70%契約できれば、今後も売れ残って困るということがなく、概ね順調に完売に至ることが多い、と言う経験則に基づくものと思われる。値付けの妥当性が確認できたという意味もあり、売主としてはほっと一息といったところだろう。

これを大きく下回ったことが公表されれば、そのマンションの評判を落とすことになるため、売主がその正直な公表を躊躇することもあると言う。

また、オフィスビルの空室率が5%を切ると賃料水準が上昇に転ずると言われる。5%程度ならテナントの交代に伴って生ずる空室(自然空室率と呼ばれる)や、新築ビルが埋まるまでの空室と考えられる。

5%を切れば、貸し手市場であり、賃料に上方改定余地が生ずるという、1つの目安、経験則と言ってよいだろう。

ただ、こちらも鯖を読むことがなきにしもあらずとのこと。

いずれにせよ、この70%、5%の法則は、業界2大経験則と言うべきだろう。

これに1つ付け加えるならば、J−REITの分配金と長期金利の差(スプレッド)の3%だろう。ここで言うスプレッドとは、J−REITの市場平均分配金利回りから長期金利の代表的指標である10年物国債の利回りを引いたものである。

平均利回り3.8%、長期金利0.8%なら、スプレッドはちょうど3%である。

これが3%を上回ると売られすぎ(投資口価格が安すぎ)、下回ると買われすぎ(投資口価格が高すぎ)というわけだ。

もちろん、J−REITの分配金利回りは、個々の投資法人の有する不動産の安定性、信頼性等にも依存するから銘柄により差がある。ここでは平均的な利回りで判断する必要がある。

3%越えは、証券マンのセールストークにも使われるが、多くの投資家が3%を目安にしていることもまた事実である。

70%、5%、3%、これらは業界3大経験則である。


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