BRIEFING.339(2014.07.10)

エアコン室外機のある風景

京都市中京区のある自治会連合会は、地区計画による景観保全への取り組みが評価され、国土交通大臣から「まちづくり功労者」の表彰を受けた。その取り組みとは、町屋の庇にに載っかっているエアコンの室外機を、落ち着いた色調の木製カバーで覆うというもので、そのカバーには京都府内の杉間伐材が利用されている。

瓦の庇に白っぽい室外機が載っている様は、ミスマッチでひどく景観を害する。それが木製の格子に囲われればかなり改善されると考えられる。

そしてこの3月には、京都府が鴨川の二条大橋〜五条大橋間の外観規制に乗り出しそのガイドライン「鴨川景観対策(エアコン室外機等対策)ガイドライン」が公表された。

このガイドラインは、鴨川右岸の前記区間について、室外機を縦格子で覆ったり、塗装したりするよう求めている。その色調についても細かく指導している。

しかしエアコンの室外機はなぜにこうまで醜いのだろうか。

その昔、日本の火鉢や西洋の暖炉といった暖房器具は、機能と併せてデザインにも配慮がなされており、その役目を終えても美術品、骨董品と扱われる物もあるくらいだ。一方、室外機にその要素は全くない。

その点、室内機はまだましである。2012年には日本のF社が薄型のシンプルなデザインで、2013年にはD社が側面に扇形を採用したデザインで、世界3大デザイン賞のひとつ「レッドドット・デザイン賞」を受賞している。だが、ともに室外機は評価の対象外であったと思われる。

室外機の醜さに加え、その配管の見苦しさはひどい。化粧カバーを被せたところで大きな改善は見られない。たとえば、足場がとれたばかりの新築マンションはきれいだが、各戸のバルコニーに室外機が取り付けられた途端、その外観は一気に陳腐化・俗物化してしまう。一戸建住宅でもそうである。

これに、電気・ガスのメーター、給湯器、さらに電気温水器、蓄電池、燃料電池等、エコ関連の四角い箱が加われば・・・。目を覆いたくなる風景である。

そこで室外機の色や形状にひと工夫できないものだろうか。色は燻し銀、煉瓦色、柿渋、檜皮、有田焼調、とか・・・。形状は、水桶風、水瓶状、樽型、駒寄型とか・・・。もちろんマンションでは統一が欠かせない。

コスト増になる、在庫が増える、納期が長くなる等は想像に難くない。難しい期待であることは承知である。街の景観保全に資するべく、エアコン・メーカー様他、関係各位にご尽力をお願いしたい。


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