BRIEFING.351(2014.11.25)

ドルから見た日本の地価

外資による都心の不動産取得が積極的である。

その背景に円安があることは間違いない。円安により、外貨で見た日本の地価には割安感があるというのである。

以下では、公示価格日本一の銀座4丁目2番4(山野楽器銀座本店敷地)について、2012年1月から2014年1月までの公示価格を米ドルで試算してみた。

為替レートは各年1月の平均である。

年月 万円/u 万ドル/u 円/ドル為替
2012.1 2,700 100.0% 35.1 100.0% 77.0 100.0%
2013.1 2,700 100.0% 30.3 86.3% 89.2 115.8%
2014.1 2,960 109.6% 28.5 81.2% 103.9 134.9%

この間、円建てでは9.6%の上昇となっているが、ドルに換算してみると、18.8%もの下落となっている。

ドルから見た日本の地価はまだまだ割安に映る。

ここで、仮に2年前の水準、35.1万ドル/uが適正な水準とし、来年1月の地価がこれに戻ると仮定しよう。そしてそれを円に戻して対前年比を見てみる。但し来年1月の為替は分からないので2014年10月の平均を採用する。

35.1万ドル×108.1円/ドル≒3,790万円/u

3,790万円/u÷2,960万円/u≒128.0%

つまり、円建てで28.0%上昇すればドル建てでやっと3年前の水準に戻る計算になる。これを同様に人民元で試算すると31.6%もの上昇となる。

実際、今の東京都心の地価動向を聞くと、こんな感じかも知れない。この1年間の実感としては物足りないぐらいとも感じられる。

市場参加者の持つキャッシュは円ばかりではない。

しかし日本の不動産が生むキャッシュフローは円である。これを自国に持ち帰る際の為替もまた円安であることに留意しなければならない。


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