BRIEFING.352(2014.12.11)

リニア新幹線、大深度地下を活用して着工へ

去る10月17日、国土交通大臣はJR東日本が申請していたリニア中央新幹線の工事実施計画を認可した。着工は12月17日である。

営業区間は286kmに及ぶ。うち86%はトンネルであり、その一部は地権者への補償が不要の大深度地下を通ることになる。

大深度地下とは、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法第2条第1項及び同法施行令第1条及び2条で、次のいずれか深い方に定められている。

(1)建築物の地下室及びその建設の用に通常供されることがない地下の深さとして政令で定める深さ(40m)

(2)当該地下の使用をしようとする地点において通常の建築物の基礎ぐいを支持することができる地盤として政令で定めるもの(2,500kニュートン/u)のうち最も浅い部分の深さに政令で定める距離(10m)を加えた深さ

また、どこでもOKというわけではなく「社会的経済的必要性が存在する地域として政令で定める地域(法第3条)」に限られ、政令では別表によりこれを定めている。概して言えば、首都圏・中部圏・近畿圏ということになる。

この措置が講じられる事業にも限定があり、道路事業、鉄道事業、水道・下水道事業等公共の事業のみとされている。

さて、これまでこの法の認可を受けた事業にはどのようなものがあるだろうか。国土交通省の公表している資料によると、案外少ない。

初の認可は「神戸市大容量送水管整備事業」である。平成19年6月19日の認可で、かなり古いが事業はまだ完了していない。大深度地下部分の延長は270m程度で短い。

2つ目は「東京外かく環状道路(関越道〜東名高速)」である。平成26年3月28日の認可であるからつい最近で、1つ目から7年近く経ってからということになる。延長は14.2kmである。

そして次が今回の「中央新幹線(東京都・名古屋市間)」である。その事業区間は、首都圏で延長約35km(土被り約40〜110m)、中部圏で延長約20km(土被り約40〜100m)と長い。

リニア新幹線の上40mに住む人の気持ちはどんなものであろうか。開業目標は2027年、13年後である。


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