BRIEFING.371(2015.06.22)

不動産の試算価格と鑑定評価額(1)

不動産鑑定評価の各手法によって求められる試算価格の内、どの価格を重視して鑑定評価額を決定するかは、鑑定評価における重要な判断である反面、恣意性が入り込む余地のある部分でもある。恣意性はもってのほかとしても、評価主体の考え方、傾向、市場認識等が現れてくる部分であり、また、いずれが正解かが分からない部分でもある。

貫かねばならない考え方の基本は「市場参加者の目線」であろう。

以下に例として@〜Bの不動産(いずれも新築)を想定する。

@超都心の超高層マンション最上階の1戸(専有床面積100u)
 敷地5,000u、地上41階地下1階建、延50,000u。
 総戸数400戸と想定。

A都心の8階建1Rマンション1棟(16u/戸×40戸)
 敷地160u、地上10階建、延800u。
 有効率80%と想定。

B郊外の3階建アパート1棟(50u/戸×36戸)
 敷地1,000u、地上3階建、延1,800u。
 有効率100%と想定。

積算価格はざっくりと以下の通り査定する。

@土地:5,000u×250万円/u=125億円
 建物:50,000u×70万円/u=350億円
 合計:475億円×販売費加算1.20=570億円
 570億円×効用積数割合1.40/400≒2億円

A土地:160u×125万円/u=2億円
 建物:800u×25万円/u=2億円
 合計:4億円

B土地:1,000u×20万円/u=2億円
 建物:1,800u×16.7万円/u≒3億円
 合計:5億円           

次回は収益価格と比準価格を査定する。


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